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人間の條件 番外編「せめてアラスジだけでも」バージョン

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映画のことでなにかと検索するときに、「フィルムセンター」のサイトをチラ見することが多かったので、最近も、いつもの習慣で、つい、なに気に「フィルムセンター」と打ち込んでしまいます。

すると、まず、こんなメッセージが現れます。

《旧 東京国立近代美術館 フィルムセンター
東京国立近代美術館フィルムセンターは2018年4月1日に東京国立近代美術館より独立し、新しい組織「国立映画アーカイブ」となりました。
こちらは、アーカイブされたフィルムセンターの過去のページです。最新情報は、「国立映画アーカイブ」のホームページをご覧ください。
「国立映画アーカイブ」のページはこちら→ 》

そうか、そうか、そうなんですよね、「フィルムセンター」というのはなくなって、いまでは「国立映画アーカイブ」といわなければなりませんでした。

とにかく、頭に「国立」という重たいものが乗っかったわけですから、権威とか権力とかいうものにやたら弱い自分などは、見ただけで一瞬たじろぐような圧迫感というか威圧感で気圧され(「けおされ」と読みます)、恐れ多くて近寄りがたく、字面から受ける印象だけでも凄い圧を感じます。

そうそう、つい先だっても、図書館でフィルムセンター(ほらっ、また!!)の新しいチラシが置いてあったので、1枚貰ってきて家で熟読したのですが、そこにも「国立映画アーカイブ開館記念」とあったので、あっ、これだなと。

その記念上映企画として「シネマ・エッセンシャル2018」というタイトルで8月21日から9月2日まで日本映画の歴史的な名作の上映会が実施されると告知されていました。

広げてみると、それこそ嬉しくなるような重厚な名作映画のスチール写真で満載です。

なになに、黒澤明に今村昌平、それに小林正樹に相米慎二か、ふむふむ、おーい、この「相米慎二」ってのは誤植じやないよね、いやなに、いいんだ、いいんだ、ちょっと聞いてみただけ。うん、気にしないで。ただちょっとね。この「黒澤明、今村昌平、小林正樹」ときて「相米慎二」ってのは、どうなのかなって思っただけ、他意はない、ない、ない。ただ時代的にどうなのよと。だって、あれだよね。ここに載っている相米の作品っていうのは、「台風クラブ」と「魚影の群れ」のこの2本でしょ。これで「羅生門」や「人間の條件」にぶつけようとする? ヘタレの1980年代だから「台風クラブ」と「魚影の群れ」が評価もされ許されもしただけで、真に作品としてはどうなのよってことを言いたいだけでさ、他意はない、ない、ない。「台風クラブ」? 衝撃のラストだけで、すべてを帳消しにするわけにはいかないかなと、「魚影の群れ」なんかも、いまならAVの近親相姦もののお約束のパターンで、いま思い返せば、夏目雅子の過剰な演技だけが鼻についたような印象の作品だったけどね、少なくともいい作品とは思えなかったと、うん。彼女の早世が作品に過剰なプレミアムをつけてしまったという感じ?

そんなことはどうでもいいんだけど、この小林正樹の「人間の條件」全6部ね、正直、これってまだ全編通して見たことないんだよね。このまえwowowで放映したときも、全部見るつもりだったんだけど、結局第1部を見ただけで急遽用事ができて見られなかったし、録画したものも、うっかり消してしまうし、だからいまでは「人間の條件」というタイトルをみただけで一瞬身構えてしまうみたいなトラウマがあって素直になれないでいる自分が鬱陶しくてね、嫌なんだ。

そんなふうに思いながら、じっと「シネマ・エッセンシャル2018」のチラシに見入っていたら、ふっと天啓のようなあるアイデアがひらめきました。

そうだ、《人間の條件 番外編「せめてアラスジだけでも」バージョン》を作って、このトラウマから逃れようと。そうだ、そうだ。

そのようにして苦悩と葛藤のなかから生み出されたのが、以下の「人間の條件」あらすじ・集大成であります。

まあ、その程度の自分ごときのトラウマを正当化するために、わざわざ相米慎二を貶さなくたってよさそうなものじゃないかというご批判も、あるいはあるかもしれませんが。


「人間の條件」
★第1部 純愛篇/第2部 激怒篇 
昭和18年の満州、梶と美千子の夫婦をのせたトラックは老虎嶺鉱山に向けて走っていた。
満鉄調査部勤務の時に知合い結ばれた2人は、友人影山の勧めで労務管理の職につく梶の任地に行くのだ。
戦争に疑いをもち、妻を愛する梶が、召集免除を条件に自ら選んだ職場が、そこに彼を待っているはずだった。
しかし、現地人の工人達を使って苛酷な仕事を強いる鉱山の労働条件は、極度に悪かった。
現場監督岡崎一味の不正に対抗し、同僚沖島や部下の現地事務員陳の助けをえて、梶の苦闘がつづく。
折から上部より2割緊急増産の指令とともに、北支から六百名の捕虜が特殊工人として送りこまれてきた。
半死状態の捕虜たちは電流を通じた鉄条網の中に入れられ、労働意欲をかりたてるためと称して娼婦をあてがわれた。
工人の高と、娼婦楊春蘭の愛が芽ばえたのは、そんな条件の中でだった。
一方、朝鮮人の張命賛は、娼婦の金東福を使って、工人を脱走させる仕事で甘い汁を吸っていた。
真面目な陳を金東福の色じかけで手中に入れ、弱点を握って鉄条網の電流を一定時間とめさせるのだ。
牟田や古屋が日本人側からこれに加担していた。
特殊工人と話し合って、現状での最善の状態を作ろうと努力し、梶は二割増産を達成させた。
しかし、楽しみにしていた美千子との休暇は、張一味による脱走事件の発生で中止となった。
張一味と結んだ古屋は、梶をねたんで再度の工人脱走を企てた。
だが、陳は良心の苛責から、3300ボルトの電流の通じる鉄条網に自ら身を投じて死んだ。
現場監督岡崎の非人間的な態度は、特殊工人の反感を買い、ある時、高をはじめとする七人の抗議事件をひきおこした。
憲兵軍曹渡合の手で、7人は日本刀による斬首の刑に処されることになった。
1人、2人と残虐な処刑が進行するうちに、それを見る梶の心理は激しく動いた。
特殊工人たちの喚声の中で、遂に梶は「やめてくれ!」と声をあげて叫んだ。
処刑は中止された。
しかし、そのあとには、軍部に反抗を企てた梶に対する、恐るべき憲兵隊のリンチが待っていた。
そして、半死半生で釈放された彼につきつけられたのは、現職免除の命令と、臨時召集令状だった。
(1959松竹)監督・小林正樹、製作・若槻繁、原作・五味川純平、脚色・松山善三、小林正樹、撮影・宮島義勇、音楽・木下忠司、美術・平高主計、録音・西崎英雄、助監督・稲垣俊、照明・加藤隆二、中国語監修・黎波
原題No Greater Love 1959.01.15 上映時間201分
出演・仲代達矢(梶)、新珠三千代(美千子)、小林トシ子(靖子)、山本和子(珠代)、佐田啓二(影山)、中村伸郎(本社部長)、田島義文(大西)、佐々木孝丸(満州浪人)、山村聡(沖島)、三島雅夫(所長黒木)、三井弘次(古屋)、芦田伸介(松田)、小沢栄太郎(岡崎)、小杉義男(川島)、稲川善一(小池)、玉島愛造(樋口)、永田靖(牟田)、磯野秋雄(小林)、浜田寅彦(金田)、宮口精二(王享立)、南原伸二(高)、増田順二(宋)、殿山泰司(黄)、北龍二(劉)、河野秋武(河野憲兵大尉)、安部徹(渡合憲兵軍曹)、福田正剛(田中上等兵)、石浜朗(陳)、淡島千景(金東福)、有馬稲子(楊春蘭)、山茶花究(張命賛)、東野英治郎(饅頭屋の親爺)、北林谷栄(陳の母親)、岸輝子(岡崎の妻)、織本順吉(崔)、


「人間の條件」
★第3部 望郷篇/第4部 戦雲篇 
厳寒の北満。関東軍の一部隊では、梶たち初年兵が連日厳しい訓練を受けていた。
板内と吉田の上等兵は、なにかというと初年兵を殴った。
美千子から、中隊長に、特殊工人斬首事件での梶の無罪を訴える手紙が来た。
が、かえってそれは梶を不利な立場に追いこんだ。
新城一等兵もにらまれていた。
彼の兄が思想犯であったからだ。
梶と新城は親しくなった。
美千子が、老虎嶺から30キロの道をやって来た。
その夜、美千子は消燈ラッパを梶の胸の中で聞いた。
行軍が行われ、梶の属する第3班からは、小原と佐々の二人の落伍者を出した。
小原は、女郎の客引の真似を吉田から強制され、その後便所の中で自らの命を絶った。
部隊は、ソ満国境に近い湿地帯に移動した。
新城は板内と夜間動哨に出、板内が満人を射殺したため、新城は営倉入りを命ぜられた。
その時、野火が起った。
この騒ぎを見て、新城は脱走した。
吉田がその後を追った。これを見てさらに梶が追った。梶と吉田は組み合い、二人は泥水の中にはまりこんだ。梶の耳には、戦友の呼ぶ声がかすかに聞えた--。
梶が意識を取り戻したところは病院だった。
吉田は病院に運ばれてから死んだ。
やがて梶は、ソ連の山々を前方にひかえる国境線の青雲台地へ行った。
そこで、梶は影山に再会した。
彼は少尉に進級していた。
梶は上等兵になった。
彼が受持った初年兵の中には、20歳そこそこの寺田二等兵がいて、軍人の家庭で育った寺田は梶の言動に反抗した。
梶はあい変らず古兵といざこざをおこし、これを心配した影山の計いで、土肥作業中隊に配属された。
間もなく、青葉陣地は玉砕し、影山は戦死した。
梶は前線に戻った。
終日、台地に戦車壕を掘った。
ソ連軍の戦車群が近づいた。
迫る戦車に、梶は半身をのばして寺田を自分の穴にひきずりこんだ。
一瞬、その背にキャタピラが地響いて通りすぎた。
やがて、死んだ暗闇になった。
「生きている者は出て来い、負傷者は助けてやる。答がなければ捨ててゆくぞ」と梶は叫んだ。
答はなかった。
梶は戦友を求めて暗闇の中へ消えて行った。
(1959松竹)監督・小林正樹、製作・細谷辰雄、製作補・小梶正治、原作・五味川純平、脚色・松山善三、小林正樹、企画・若槻繁、撮影・宮島義勇、音楽・木下忠司、美術・平高主計、編集・浦岡敬一、録音・西崎英雄、照明・青松明
原題Road to Erernity  1959.11.20 松竹 上映時間180分
出演・仲代達矢(梶)、新珠三千代(美千子)、佐田啓二(影山少尉)、城所英夫(工藤大尉)、多々良純(日野准尉)、織田政雄(舟田中尉)、松本克平(土肥中尉)、内田良平(橋谷軍曹)、青木義朗(曽我軍曹)、諸角啓二郎(弘中伍長)、千秋実(小野寺兵長)、阿部希郎(柴田兵長)、南道郎(吉田上等兵)、植村謙二郎(板内上等兵)、佐藤慶(新城一等兵)、内藤武敏(丹下一等兵)、田村保(石井一等兵)、川津祐介(寺田二等兵)、藤田進(鳴戸二等兵)、田中邦衛(小原二等兵)、柳谷寛(田ノ上二等兵)、桂小金治(佐々二等兵)、小瀬朗(久保二等兵)、倉田マユミ(小原の女房)、岩崎加根子(徳永看護婦)、原泉(沢村婦長)、木村天竜(大隊長)、安井昌二(見習士官)、重富孝男(鈴木伍長)、北見治一(松島伍長)、福村幸雄(河村上等兵)、清村耕次(乾上等兵)、井上昭文(赤星上等兵)、


「人間の條件」
★第5部 死の脱出篇/第6部 曠野の彷徨篇 
ソ連国境でソ連軍の攻撃を受けた梶の隊は、梶と弘中伍長と寺田二等兵を残して全滅した。
三人はただ歩いた。
やがて、川に出た。
そこには避難民の老師教夫婦や、慰安婦の竜子と梅子、部隊から落伍した匹田一等兵たちがいた。
彼らは梶の指揮に従って歩きはじめた。
飢えから倒れていく者が多くなった。
丘の麓に、永田大尉の率いる一個中隊が休息していた。
女連れの梶たちをののしり、食糧すら与えなかった。
しかし、かつて野戦病院で一緒だった丹下が隊にいて、乾麺包にありつくことができた。
林のはずれに一軒の農家を見つけ、彼らは豚を煮て大休止をした。
が、それも束の間、民兵が家を囲み、竜子は悲惨な殺され方をした。
生き残った六人はやっと道路に出た。
日本人の避難民が行き、赤軍のトラックが通る。
倉庫のような建物に三十人ほどの避難民の女がいた。
叔父の家から北湖頭の自分の家へ帰る姉弟と一緒になった。
一緒に南満へ行こうと勧めたが、どうしても家へ帰るといい、匹田と桐原が送っていった。
「あの娘は適当に扱ってやったよ」という桐原を、梶は怒って追い出した。
平坦な地平線に開拓集落をみつけた。
老人や女ばかりの避難民。
日本兵はここにきては食糧を荒していき、女たちには黒パンをもってくるソ連兵の方がよかった。
突如、ソ連兵が向ってきた。
女の「やめて、ここで戦争をしないで」という叫び声に、梶は呆然として降伏した。
梶はソ連陣地に連れられていった。
収容所には桐原がいて、捕虜を管理していた。
寺田が大豆を盗んだことが発覚して、桐原は寺田をなぐった。
寺田は高熱に苦しんだ。
梶は寺田のかわりに作業をサボって食糧をあさった。
桐原はソ連将校に告口をし梶はサボタージュの罰として重労働を言いわたされた。
森林軌道の撤去作業についた。
収容所へ帰った梶は、寺田が桐原になぐり殺されたことを知った。
その夜、梶は寺田の殺された便所の裏で桐原をなぐり殺した。
梶は鉄条網を抜け出した。
やがて、雪が降りだした。
「美千子、僕は君のところへ帰るよ」とつぶやきながら梶は倒れた。
その上に雪が降りしきった。
(1961松竹)監督・小林正樹、脚色・松山善三、小林正樹、稲垣公一、原作・五味川純平、製作・若槻繁、小林正樹、撮影・宮島義勇、美術・平高主計、音楽・木下忠司、録音・西崎英雄、照明・青松明、スチル・梶原高男
原題A Soldier's Prayer  1961.01.28 松竹 上映時間189分
出演・仲代達矢(梶)、新珠三千代(美千子)、内藤武敏(丹下一等兵)、諸角啓二郎(弘中伍長)、川津祐介(寺田二等兵)、高原駿雄(朝鮮へ行く兵長)、清村耕次(匹田一等兵)、広沢忠好(井出一等兵)、岸田今日子(竜子)、瞳麗子(梅子)、上田吉二郎(石炭屋)、石本倫子(妻)、御橋公(老教師)、南美江(妻)、坊屋三郎(雑貨屋)、中村美代子(妻)、須賀不二男(永田大尉)、陳東海(中国人老農夫)、金子信雄(桐原伍長)、平田守(福本上等兵)、菊池勇一(氏家上等兵)、菅井きん(避難民中年の女)、中村玉緒(避難民少女)、真藤孝行(避難民少年)、成瀬昌彦(朝鮮人)、陶隆司(小椋上等兵)、石黒達也(洞窟隊長)、垂水悟郎(北郷曹長)、宇野重吉(避難民長老)、高峰秀子(避難民中年の女)、山内明(吉良上等兵)、二本柳寛(捕虜隊長野毛少佐)、トニー・パークス(ソ連軍書記)、E・キーン(輸送将校)



あっそうそう、ついうっかりしていました。
本題の「国立映画アーカイブ開館記念、シネマ・エッセンシャル 2018」のプログラムは、以下の通りです。
これを忘れちゃ、いけませんよね。

★羅生門[デジタル復元版]
三人の男女の食い違う証言を軸にした斬新なシナリオ術、宮川一夫によるモノクローム撮影の美、早坂文雄によるボレロ調の曲など、黒澤のもとに結集した才能による芸術性が認められ、ヴェネチア国際映画祭での受賞を通じて日本映画の国際的プレゼンスを一気に高めた一篇。2008年に当館が角川映画(現KADOKAWA)、米国映画芸術科学アカデミーとともに手がけたデジタル復元版を上映。
(1950大映京都)(監督脚本)黒澤明(原作)芥川龍之介(脚本)橋本忍(撮影)宮川一夫(美術)松山崇(音楽)早坂文雄
(出演)三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之、千秋実、上田吉二郎、本間文子、加東大介
(88分・35mm・白黒)

★蜘蛛巣城
シェイクスピアの「マクベス」を日本の戦国時代に置き換えて翻案した時代劇。能舞台に造詣の深い黒澤は、人物の動きや表情などに能の様式を取り入れて幽幻の美を実現する一方、壮大なオープンセットを建設し、抜きんでた画面の躍動感を生み出した。
(1957東宝)監督脚本・黒澤明、監督助手・野長瀬三摩地、田実泰良、金子敏、清水勝弥、脚本・小国英雄、橋本忍、菊島隆三、原作・ウィリアム・シェークスピア、撮影・中井朝一、音楽・佐藤勝、美術・村木与四郎、美術監修・江崎孝坪、録音・矢野口文雄、照明・岸田九一郎、記録・野上照代、特殊技術・東宝技術部、製作担当・根津博、流鏑馬指導・金子家教 (日本弓馬会範士)、遠藤茂(日本弓馬会教士)
出演・三船敏郎(鷲津武時)、山田五十鈴(妻浅茅)、志村喬(小田倉則保)、久保明(三木義明の嫡子・義照)、太刀川洋一(都筑国丸の嫡子・国丸)、千秋実(三木義明)、佐々木孝丸(城主都築国春)、清水元(鷲津の郎党)、藤木悠(鷲津の郎党)、土屋嘉男(鷲津の郎党)、浅野光男(鷲津の郎党)、大友伸(鷲津の郎党)、佐田豊(鷲津の郎党)、高堂国典(武将1)、富田仲次郎(武将2)、稲葉義男(武将3)、土屋詩朗(武将4)、高木新平(武将5)、増田正雄(武将6)、松下猛夫(武将7)、大友純(武将8)、上田吉二郎(鷲津の親兵a)、谷晃(鷲津の親兵b)、堺左千夫(鷲津の親兵c)、沢村いき雄(鷲津の親兵d)、大村千吉(鷲津の親兵e)、三好栄子(城の老女)、浪花千栄子(物の怪の老婆)、恩田清二郎(三木の郎党1)、笈川武夫(三木の郎党2)、桜井巨郎(都築の使武者1)、井上昭文(都築の使武者2)、小池朝雄(都築の使武者3)、坪野鎌之(都築の使武者4)、加藤武(都築警護の武士1)、高木均(都築警護の武士2)、樋口迪也(都築警護の武士3)、大橋史典(先ぶれの武者)、木村功(幻の武者1)、宮口精二(幻の武者2)、中村伸郎(幻の武者3)、
1957.01.15 11巻・35mm 3,006m 110分 白黒

★隠し砦の三悪人
お家の再興を願う敗国の家臣が姫を連れ、軍用金とともに隣国へ脱出する道のりを描いた豪快なアクション映画で、黒澤映画として初めてシネマスコープ・サイズを採用した。ジョージ・ルーカスは『スター・ウォーズ』第一作(エピソード4)のアイデアをこの作品から得たと語り、ロボット「C-3PO」と「R2-D2」も本作のコミカルな二人の農夫をモデルとした。
(1958東宝)(監督脚本)黒澤明(脚本)菊島隆三、小國英雄、橋本忍(撮影)山崎市雄(美術)村木與四郎(音楽)佐藤勝
(出演)三船敏郎、千秋実、藤原釜足、藤田進、志村喬、上原美佐、三好榮子、樋口年子、藤木悠、土屋嘉男、髙堂國典、加藤武、三井弘次、小川虎之助、上田吉二郎、富田仲次郎、田島義文、沢村いき雄、大村千吉
(138分・35mm・白黒)

★天国と地獄
貧富の差を憎み、丘の上の豪邸を三畳の安アパートから見上げる犯人(山崎)の視線を主軸に展開される誘拐劇。とりわけ、製靴会社の常務権藤(三船)の家と、身代金受け渡しの場となる特急列車という二つの空間に強いサスペンスが満ちる。人物の動線から小道具までさまざまな細部が緻密に造形されており、誘拐を報じる新聞までが本物のように精密に作られた。
(1963黒沢プロ=東宝)(監督脚本)黒澤明(原作)エド・マクベイン(脚本)小国英雄、菊島隆三、久板榮二郎(撮影)中井朝一、齋藤孝雄(美術)村木与四郎(音楽)佐藤勝
(出演)三船敏郎、仲代達矢、香川京子、三橋達也、木村功、石山健二郎、加藤武、志村喬、田崎潤、中村伸郎、伊藤雄之助、山崎努、千秋実、東野英治郎
(143分・35mm・パートカラー)

★人間の條件 第一部・第二部(206分・35mm・白黒)
五味川純平の同名小説を原作にした、全9時間半以上におよぶ戦争叙事詩の始まり。反戦の心を持つ梶(仲代)は、兵役を逃れて妻美千子(新珠)とともに南満州鉄鋼から鉱山に移り、労務管理の職を得る。だが劣悪な労働環境に義憤を覚え、横暴や理不尽と闘ったがゆえに上層部や軍の反感を買い、凄惨なリンチの果てに待っていたのは召集令状だった。
(1959にんじんくらぶ)(監督脚本)小林正樹(原作)五味川純平(脚本)松山善三(撮影)宮島義勇(美術)平高主計(音楽)木下忠司
(出演)仲代達矢、新珠三千代、淡島千景、有馬稲子、佐田啓二、山村聰、石浜朗、南原伸二、宮口精二、安部徹、三島雅夫、小沢栄太郎、三井弘次、 河野秋武、中村伸郎、山茶花究

★人間の條件 第三部・第四部(178分・35mm・白黒)
厳寒の満州北部。関東軍に配属され、厳しい日々を送る梶のかたわらで、思想犯を兄に持つ同じ初年兵の新城(佐藤)が脱走する。梶はその後ソ満国境に移されて上等兵となり、寺田二等兵(川津)らの部下を任される。再会した旧友影山少尉(佐田)の計らいで前線を離れるが、当の影山は戦死する。再び前線に戻されて戦車壕を掘る梶らの前にソ連軍の戦車部隊が現れる。
(1959人間プロ)(監督・脚本)小林正樹(原作)五味川純平(脚本)松山善三(撮影)宮島義勇(美術)平高主計(音楽)木下忠司
(出演)仲代達矢、新珠三千代、桂小金治、多々良純、南道郎、佐藤慶、田中邦衛、内田良平、柳谷寛、植村謙二郎、岩崎加根子、倉田マユミ、内藤武敏、佐田啓二、川津祐介、藤田進、千秋実、安井昌二、渡辺文雄、浜村純、小林昭二、諸角啓二郎、早野壽郎、井上昭文、牧真史

★人間の條件 第一・二・三・四部 梗概/人間の條件 第五部・第六部(計197分)
人間の條件 第一・二・三・四部 梗概(7分・35mm・白黒)
人間の條件 第五部・第六部(190分・35mm・白黒)
ソ連軍の攻撃をどうにか生き延び、さまよう梶はやがて避難民たちと合流するが、さらなる危険が待ち構えており、ソ連軍の捕虜となった彼は雪の大地に倒れる。撮影に3年以上を費やしたこの長大な力作は、小林正樹自身の長い軍隊体験にも連なるリアリズムを開花させた。巨大な権力によって、自らの意思に反する生を強いられた人間の生き様は、小林の生涯を貫く主題である。
(1961にんじんくらぶ)(監督脚本)小林正樹(原作)五味川純平(脚本)松山善三、稲垣公一(撮影)宮島義勇(美術)平高主計(音楽)木下忠司
(出演)仲代達矢、新珠三千代、中村玉緒、高峰秀子、川津祐介、笠智衆、内藤武敏、岸田今日子、瞳麗子、諸角啓二郎、清村耕次、金子信雄

★豚と軍艦
基地のある横須賀の「どぶ板通り」を舞台に、養豚で一儲けを狙う落ち着きのないチンピラ(長門)と、彼を慕う純情な女(吉村)のはかない恋の行方を描き、敗戦国日本の底辺をえぐり出した作品。今村昌平の作風はしばしば「重喜劇」とも称され、人間の泥臭いエネルギーを発散する映画が多いが、その本格的な始まりとなった一本である。
(1961日活)(監督)今村昌平(脚本)山内久(撮影)姫田真左久(美術)中村公彦(音楽)黛敏郎
(出演)長門裕之、吉村実子、南田洋子、大坂志郎、中原早苗、小沢昭一、三島雅夫、東野英治郎、山内明、西村晃、殿山泰司、加藤武、丹波哲郎、菅井きん、武智豊子、初井言栄、佐藤英夫、城所英夫、高原駿雄
(108分・35mm・白黒)

★「エロ事師たち」より 人類学入門
舞台は大阪。ポルノ写真やブルーフィルムをこしらえて売り、日々をしのぐ男(小沢)が、下宿先の子連れ女主人(坂本)と恋仲になり、やがてその娘とも関係を持つに至る。性にとりつかれた滑稽な男どもを描いた野坂昭如のデビュー作を、グロテスクでありながら時に哀愁さえ漂うタッチで描き、今村らしい人間臭さが際立っている。
(1966今村プロ)(監督・脚本)今村昌平(原作)野坂昭如(脚本)沼田幸二(撮影)姫田真左久(美術)高田一郎(音楽)黛敏郎
(出演)小沢昭一、坂本スミ子、中村鴈治郎、ミヤコ蝶々、田中春男、佐川啓子、近藤正臣、西村晃、菅井一郎、中野伸逸、内田朝雄、北村和夫、殿山泰司、浜村純、菅井きん、木下サヨ子、園佳也子、福山象三、小倉徳七、西岡慶子、小林昭二、玉村駿太郎
(128分・35mm・白黒)

★楢山節考
老人を山に捨てる「姨捨て」伝説に基づく深沢七郎の小説を原作に仰ぐ今村の大作。木下惠介監督作(1958年)を受けたリメイクだが、木下版と違って全篇ロケーションを敢行、動物の生殖シーンや他の動物を食べるショットを挿入するため「動物班」まで組織された。生への執着を前面に出す今村流のリアリズムは、最終的に第36回カンヌ国際映画祭のパルム・ドール受賞に結実した。
(1983東映=今村プロ)(監督・脚本)今村昌平(原作)深沢七郎(撮影)栃沢正夫(美術)稲垣尚夫(音楽)池辺晋一郎
(出演)緒形拳、坂本スミ子、左とん平、あき竹城、小沢昭一、常田富士男、深水三章、倉崎青児、高田順子、倍賞美津子、殿山泰司、樋浦勉、ケーシー高峰、小林稔侍、清川虹子、横山あきお、三木のり平、辰巳柳太郎
(130分・35mm・カラー)

★魚影の群れ
北の海で、危険なマグロの一本釣りに命を賭ける初老の漁師(緒形)とその快活な娘(夏目)、そして一人前の漁師を志す娘の恋人(佐藤)の人間関係を描いた吉村昭文学の映画化。凄絶なマグロ漁のシーンや、時に異常なほどの長回しで捉えられた人物たちを通じて、相米慎二は緊張感に満ちた濃密なドラマを生み出した。
(1983松竹)(監督)相米慎二(原作)吉村昭(脚本)田中陽造(撮影)長沼六男(美術)横尾嘉良(音楽)三枝成章
(出演)緒形拳、夏目雅子、佐藤浩市、矢崎滋、レオナルド熊、石倉三郎、下川辰平、工藤栄一、三遊亭円楽、十朱幸代
(140分・35mm・カラー)

★台風クラブ
ある地方都市を舞台に、台風が接近する中で学校の校舎に閉じ込められた中学3年生たちが、非日常の時間の中でそれぞれの感情を高ぶらせ、やがて大きな破局に至る。『ションベン・ライダー』(1983年)や『雪の断章-情熱-』(1985年)など、旧来の青春映画の枠を超えた少年少女像を提示した相米の面目躍如たる一篇。
(1985ディレクターズ・カンパニー)(監督)相米慎二(脚本)加藤祐司(撮影)伊藤昭裕(美術)池谷仙克(音楽)三枝成章
(出演)三上祐一、紅林茂、松永敏行、工藤夕貴、大西結花、会沢朋子、三浦友和、尾美としのり、鶴見辰吾、寺田農、小林かおり、石井富子、佐藤允、伊達三郎
(115分・35mm・カラー)





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