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Channel: 映画収集狂
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「見たい」と「見せたい」の日仏ギャップ(ジャポニスム2018)

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フランスで開催されている「ジャポニスム2018」のなかのイベントの一つとして「日本映画の100年」という企画があって、そこで上映されるという日本映画119本の具体的な作品名を知りたくて、右往左往したドタバタは昨日のブログにアップしたとおりです。

そして、苦労のかいあって、ついに2018年8月30日の読売新聞朝刊に該当の記事が掲載されていることを突き止めました。

さっそく図書館でその記事のコピーをとってきて、全体の数量からすればほんの一部にすぎませんが(23本+3本)、判明した作品についてブログにアップすることができました。

昨夜の時点では、自分的には「よくやった」という達成感もあり、それなりの満足感も得ていたのですが(この話はこれで完結だなと考えていました)、一夜明けて、あらためて「26/119」というのを見ると、比率的にどうなの? という不安に苛まれ始めました。

しかし、例のあの記事が伝えようとしている本当の主旨は、表(上映予定作品の開示)の方ではなく、文章(日本の選考者とフランスの選考者が思いの違いをぶつけあった経緯)の方なのであって、結論的な作品名の羅列のみで(それも不完全です)果たして良かったのかという思いは残りました、その「思い」を「迷い」と言い替えても、決して誤りではありません。

自分の気持ちをもう一度、整理するために、再度、記事を精読してみました。

 1 「日本映画の100年」は、日仏で最も議論を戦わせた企画のひとつである(ジャポニズム事務局)

 2 公式企画「日本映画の100年」で上映する作品119本について日仏の専門家が幾度も激論を戦わせた。

 3 作品選定 日本側・安藤紘平(早大)、フランス側・ジャン・フランソワ・ロジェ(シネマテーク・フランセーズ)、ファブリス・アルデュイニ(パリ日本文化会館)

 4 日本側主張(過去から現代への流れを俯瞰できるプログラムを想定した)、フランス側主張(黒澤・小津・溝口・成瀬ら巨匠の作品は、もはや知れ渡っていて、むしろ、さらに突っ込んで「知られざる日本」をコンセプトに「三隅研次特集」など、特定な監督や時代に焦点を絞りたい)

 5 日本側提案(クラシック作品群も4Kデジタル修復版があり、新しい形で見れば新しい発見があるのではないか)、フランス側(了承)→ 方針【巨匠の傑作も含め過去から現代へと概観する方向性は決定】

 6 「第2部・part2 フランスでは、まだ知られていない名監督や、良く知られた監督の知られざる傑作」(全部の作品が開示されていた例の32本です)の選択の調整について、さらに時間を要した。

その「選択の調整について時間を要した」という部分を、記事は具体的に、こんなふうに記述しています。

《例えばこのパートでは、小林正樹監督の壁厚き部屋が上映される。安藤さんは、「小林監督作品ならば『切腹』を」と提案したが、フランス側は、「さんざん上映されている」と譲らなかった。逆に安藤さんが譲らなかったのは、寺山修司監督作品。フランス側は、「ボクサー」を望んだが、安藤さんは作家性が濃密な「田園に死す」で押し切った。

フランス側が欲しいものと日本側が見せたいもの。意向をぶつけ合った結果、できあがったのは、俯瞰的だが個々の作品選択はユニーなプログラム。第2部・part2は、日本文化会館で上映の予定だったが、シネマテーク側が気に入って、自分の所で上映することにしたという。
日仏の感性を共鳴させ、新たな文化の創造や交流につなげることも「ジャポニスム2018」の目的。この企画では既にそれが始まっている。》


記事の趣旨は、日仏双方の主張(温度差の論点)を含めて、よく分かりました。

しかし、依然として分からないのは、「その他○○本」などと端折って表示されている作品名です。

いくら検索し、探しても見つからないので、もう探すのは諦めました、きっぱり、もう止めました、でも、いずれ暇を見つけて伏せられた作品は推理してみたいと思います。

それも結構たのしいかもしれませんよ。

でも、フランス人がまだ知らない、未知の日本、ですか。

う~ん、でもこれって、一歩間違えると「フランス人が好む日本の映画」ってことになりませんかね。

もしそうなら、「知られざる未知の」なんて、カッコつけないで、正直に「わたし好みの」って正直に言えばいいのにね。



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