ポーランド映画史に残る名作や傑作を特集する「ポーランド映画祭2018」が、11月10日~11月23日に東京都写真美術館ホールで開催される。
名匠ロマン・ポランスキー監督の85歳を記念し、ポーランド時代の「水の中のナイフ」(62)とドキュメンタリー「ロマン・ポランスキー 初めての告白」(2012)などの上映をはじめ、ポーランド独立回復100周年を記念し、名作映画から見るポーランド史の企画で、
「灰とダイヤモンド」(1958/アンジェイ・ワイダ監督)、
「夜と昼」(75/イエジー・アントチャック監督)、
「戦場のピアニスト」(2002/ロマン・ポランスキー監督)、
「大理石の男」(76/アンジェイ・ワイダ監督)、
「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」(2014/ヤン・コマサ監督)、
「約束の土地」(74/アンジェイ・ワイダ監督)、
「ヴォウィン」(2016/ヴォイチェフ・スマジョフスキ監督)
の7作品を紹介する。
そのほか、本映画祭監修を務めるイエジー・スコリモフスキ監督の「ムーンライティング」(82)、「イレブン・ミニッツ」(2015)も上映される。
★ムーンライティングFucha監督:イエジー・スコリモフスキ
1982年/英語・ポーランド語/97分/カラー/デジタル・リマスター版
イギリスに不法滞在する4人のポーランド人。彼らは別荘の改修作業に励むが、ひとり英語を解するノヴァクだけは祖国に戒厳令が敷かれたことを知る。しかし作業の遅れを恐れた彼は、その事実を仲間にひた隠しにした。独立自主管理労組“連帯"を弾圧するため戒厳令が敷かれた事件を背景に、同時代の緊迫感が伝わる快作。第35回カンヌ国際映画祭で最優秀脚本賞受賞。
★イレブン・ミニッツ 11 Minutes監督:イエジー・スコリモフスキ
2015年/ポーランド語/81分/カラー/デジタル
午後5時から5時11分までの間にワルシャワ都心部で、互いを知らぬ人々の間に起こる11分間のドラマをモザイク状に構成した、リアルタイム・サスペンスの傑作。クライマックスまで緊張感溢れる映像。「11という数字は美しくて好きなんだ!」と語るスコリモフスキ監督の最新作を、今年は11月11日(日)11:00から上映する。
★水の中のナイフNóż w wodzie監督:ロマン・ポランスキー
1962年/ポーランド語/94分/モノクロ/デジタル・リマスター版
裕福な中年夫婦と貧しい青年が偶然に湖でバカンスを過ごすことになる。ボートの上で繰り広げられる人間模様から見える世代間の断絶や階層のギャップ。ポランスキーの名前を世界に広めた長編処女作。脚本はスコリモフスキとの初めての共同執筆、そこにクシシュトフ・コメダのモダン・ジャズがスパークする、今日でも全く色褪せない傑作。ヴェネチア国際映画祭批評家連盟賞受賞。
★ロマン・ポランスキー 初めての告白Roman Polański: moje życie監督:ローラン・ブーズロー
2012年/英語/94分/カラー/デジタル/提供:KADOKAWA
ポランスキー自身が、生い立ちから今に至るまでを自らの言葉で赤裸々に語ったドキュメンタリー。2009年から2010年にかけてスイスの自宅に軟禁中の彼に、長年のビジネス・パートナーである監督がロングインタビューを決行。親しい友人相手に自分の全てをさらけ出し、時には涙すら浮かべる彼の姿に心を奪われる。同時に、その偉大さが伝わる。
★メモリーズ・オブ・サマーWspomnienie lata監督:アダム・グジンスキ
2016年/ポーランド語/90分/カラー/デジタル/配給:マグネタイズ
1970年代の後半、小さな地方の町で暮らす12歳の少年ピョトレックは、母親と強い絆で結ばれていた。だが母親は、父親が去ってから毎晩のように外出し始め・・・。大人への階段を昇る過程の一瞬の季節を瑞々しいタッチで描き出し、青春の光と影をとらえた傑作。第32回ワルシャワ国際映画祭コンペティション部門入選。2019年日本公開予定。
★マリア・スクウォドフスカ=キュリーMaria Skłodowska-Curie監督:マリー・ノエレ
2016年/ポーランド語・フランス語/96分/カラー/デジタル(英語字幕付)
女性初のノーベル賞に輝いた“キュリー夫人”の波瀾万丈の人生を映画化。男性優位の風潮が根強い20世紀初頭のフランスを舞台に、最愛の夫を事故で失い2人の幼い娘を育てながら、再び栄冠をつかむ一人の科学者に迫る。キュリー役を演じたカロリナ・グルシュカは第20回ポーランド映画賞の主演女優賞にノミネートされた。
★ゴッホ~最期の手紙~Twój Vincent監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
2017年/英語/96分/カラー/デジタル/提供:パルコ
オランダ人画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。この不世出の天才を死に追いやったものは何だったのか? 全編、125名のアーティストが再現した動く“ゴッホの絵”によって表現された斬新なアニメーション作品。2017年のアヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞を受賞した他、アカデミー賞やゴールデングローブ賞にもノミネートされた。
★クリスマスの夜にCicha noc監督:ピオトル・ドマレフスキ
2017年/ポーランド語/97分/カラー/デジタル
海外で働くアダムは、クリスマス・イヴに突然ポーランドへ帰ってくる。出迎える家族たちは、アダムが彼らの人生を変えてしまうほどの、ある計画を企んでいることなど知る由もなかった。主演は『幸せのありか』(13)『イーダ』(13)『イレブン・ミニッツ』(15)のダヴィド・オグロドニク。第20回ポーランド映画賞の作品賞、主演男優賞をはじめ多数受賞。
★ピウスツキ・ブロニスワフ~流刑囚、民族学者、英雄~Piłsudski Bronisław: zesłaniec, etnograf, bohater監督:ヴァルデマル・チェホフスキ
2016年/ポーランド語・日本語/53分/カラー/デジタル
弱者の側に立ち続けたポーランド人民族学者についてのドキュメンタリー。アレクサンドル3世の暗殺計画に巻き込まれサハリンへ流刑された後、アイヌをはじめとした少数民族の研究で偉大な功績を残し、日露戦争や第一次世界大戦を経て、最期はセーヌ川で水死したピウスツキ。彼に縁のあった人物や研究者の証言からその数奇な運命を紐解く。
★夜と昼Noce i dnie監督:イエジー・アントチャック
1975年/ポーランド語/170分/カラー/デジタル・リマスター版
全4巻からなるマリア・ドンブロフスカの長編小説の映画化。1863年から第一次世界大戦が勃発した1914年にかけての50年間を、歴史に翻弄されたある家族を通して壮大なスケールで描く。第49回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、ドラマシリーズ化もされた。監督は『ショパン 愛と哀しみの旋律』(02)のイエジー・アントチャック。
★灰とダイヤモンドPopiół i diament監督:アンジェイ・ワイダ
1958年/ポーランド語/103分/カラー/デジタル・リマスター版
ポーランド映画を代表する傑作として、映画史にその名を刻む金字塔的作品。第二次世界大戦末期のポーランド。誤ってターゲットとは別の人物を殺害してしまった若きテロリスト、マチェクが、翌朝、虫けらのごとく空しく死んでいく様を鮮烈に映し出す。『世代』『地下水道』と並ぶ、アンジェイ・ワイダの“抵抗三部作”の一本。
★戦場のピアニストPianista監督:ロマン・ポランスキー
2002年/英語・ドイツ語・ロシア語/149分/カラー/デジタル・リマスター版/提供:ブロードメディア・スタジオ
戦火を生き抜いたユダヤ系ポーランド人ピアニスト、ヴワディスワフ・シュピルマンの感動の実話。シュピルマンの実体験を記した『ある都市の死』が原作。自身もユダヤ人ゲットーで過酷な生活を送ったポランスキー監督の集大成として絶賛を浴び、カンヌ国際映画祭パルムドール、米アカデミー賞の主演男優賞、監督賞、脚色賞などを受賞した。
★大理石の男Człowiek z marmuru監督:アンジェイ・ワイダ
1976年/ポーランド語/161分/カラー/デジタル・リマスター版
スターリン時代に英雄として祭り上げられたある労働者の人生と、彼の真実を追う映画大学の女子学生。ポーランドの“過去”と“現在”を重層的に描き出す、ワイダ監督渾身の大作。ポーランド国内で大ヒットを記録、海外上映禁止処分を受けながらも第31回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を獲得するなど、世界中で高く評価された。
約束の土地Ziemia obiecana監督:アンジェイ・ワイダ
1974年/ポーランド語/169分/カラー/デジタル・リマスター版
19世紀末、ポーランドの工業都市ウッチ。民族・宗教の異なる3人の若者が大いなる野望を抱いて織物工場を建設するものの、事態は思わぬ方向へ・・・。旧世代に代わって街を支配しようとした男たちが辿る皮肉な運命がドラマチックに描かれる。ワイダの冷徹な洞察力が冴え渡る理想と挫折の物語。第48回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネート。
★リベリオン ワルシャワ大攻防戦Miasto 44監督:ヤン・コマサ
2014年/ポーランド語/128分/カラー/デジタル/提供:ニューセレクト
第二次世界大戦の末期、ポーランドに侵攻したソ連軍は首都ワルシャワに迫っていた。ナチスドイツ占領からの解放を信じたポーランド地下抵抗組織(国内軍)は大規模な武装蜂起を決行。しかし突如進撃を止めたソ連の裏切りにより、彼らの戦いは絶望の地獄に突き落とされることになる。1944年8月のワルシャワ蜂起の全貌を描く大スペクタクル映画。
★ヴォウィンWołyń監督:ヴォイチェフ・スマジョフスキ
2016年/ポーランド語・ウクライナ語/150分/カラー/デジタル
ウクライナ人、ポーランド人、ロシア人、ユダヤ人らがモザイク状に共生していた地域ヴォウィン。現在はウクライナに位置するこの地で起こった民族相互の大虐殺は、第二次世界大戦最大の悲劇と言われた。エスカレートする民族主義に疑問を投げかける問題作。スマジョフスキ作品はポーランド国内で人気があり、日本でも過去作品が上映されている。
★ポコット 動物たちの復讐Pokot監督:アグニェシュカ・ホランド、カシャ・アダミック
2017年/ポーランド語・英語/128分/カラー/デジタル
第67回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した、アグニェシュカ・ホランドと娘のカシャ・アダミックの共同監督作。原作はポーランドの女流作家オルガ・トカルチュクの小説。山で連続殺人事件が起こる。大の動物好きで、今は教師として慎ましやかに暮らしている老女が事件の真相に迫るが、住民は誰も彼女を信じようとはしなかった…。
★顔Twarz監督:マウゴジャタ・シュモフスカ
2017年/ポーランド語/92分/カラー/デジタル
ドイツ国境に近い村の建設現場で働いていた男が事故に遭った。顔に大怪我を負った彼は、移植手術を受けて故郷に戻るが、誰も彼のことが分からず…。アイデンティティの喪失を激しい音楽とともに描いた意欲作。第68回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作。監督は前作『君はひとりじゃない』が日本でも公開されたマウゴジャタ・シュモフスカ。
★ゆれる人魚Córki dancingu監督:アグニェシュカ・スモチンスカ
2015年/ポーランド語/92分/カラー/デジタル/提供:ハピネット
1980年代、共産主義時代のポーランドを舞台に、肉食人魚姉妹の少女から大人への成長を野生的に描いたホラーファンタジー映画。海から陸へ上がって来た人魚の姉妹がたどり着いたのはワルシャワのナイトクラブだった。一夜にしてスターとなる姉妹だが、次第にお互いの関係が壊れていく。
★お願い、静かにProszę o ciszę監督:水谷江里
2017年/ポーランド語/26分/カラー/デジタル
多摩美術大学卒業後ポーランドに渡り、ウッチ映画大学で現地のスタッフとともに映画を撮り続ける、京都出身の水谷江里監督作。とある寄宿制の聾唖学校で、音のない世界に生きる子供たちの日常を、1年間かけて丹念に追ったドキュメンタリー。子供たちの何気ない表情や仕草を通し、観る者をファンタジックな異世界へと誘い出す。
★こんな風景Taki pejzaż監督:ヤゴダ・シェルツ
2013年/ポーランド語/23分/カラー/デジタル
既成概念から飛び出し、実際の出来事を元に、死に対する恐怖から救ってくれる奇跡や贖罪、悔恨、祈り、赦しなどのテーマを詩的な映像で紡いだ渾身の一作。女性監督の中でもどこか力強さを感じるヤゴダ・シェルツの短編作品。ヤゴダは既に長編作品を2本発表し、ポーランドで最も注目される監督の一人。
★チプカCipka監督:レナータ・ゴンショロフスカ
2016年/ポーランド/9分/カラー/デジタル
若い女性が家で一人で過ごしている。彼女は一人で素敵なお風呂タイムを楽しもうとするが、思い通りには進まない。自慰についての新しいタイプの可愛らしいアニメーションの誕生。本作は2017年新千歳空港国際アニメーション映画祭でインターナショナルコンペティションにノミネートされた。
★サルトSalto監督:タデウシュ・コンヴィツキ
1965年/ポーランド語/106分/モノクロ/デジタル・リマスター版
昨年のポーランド映画祭で上映した『ズビシェク』でポーランドの名優ズビグニェフ・ツィブルスキが登場し、異様なダンスシーンを披露していたのが本作。戦争の暗い影から逃れられない民族の宿命を描いている。クラブでのダンスシーンは、ポーランド映画史に残る名シーンなので必見。
★イーダIda監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
2013年/ポーランド語/82分/モノクロ/デジタル
2018年のカンヌ国際映画祭で最新作『Cold War』を発表し、見事、最優秀監督賞を受賞したパヴェウ・パヴリコフスキ。本作はポーランド映画初の米アカデミー賞外国語映画賞を受賞。1960年代初頭のポーランドを舞台に、孤児として育てられた少女が自身の出生の秘密を知るために叔母と旅に出るというロードムービー。
★ラブ・エクスプレス ヴァレリアン・ボロフチクについてLove Express. Przypadek Waleriana Borowczyka監督:クバ・ミクルダ
2018年/ポーランド語・英語・フランス語・イタリア語/79分/カラー/デジタル
比類のない感度を持つポーランド映画監督の一人ヴァレリアン・ボロフチク。1960年代には短篇映画が世界中の賞賛を集め、その後、エロティック映画を制作し続けたボロフチクを、テリー・ギリアム、ニール・ジョーダン、アンジェイ・ワイダ、パトリス・ルコントなど、彼に近い映画制作者、知人などのインタビューも含めて掘り下げて紹介する。
★罪物語Dzieje grzechu監督:ヴァレリアン・ボロフチク
1975年/ポーランド語/120分/カラー/デジタル・リマスター版
19世紀末のワルシャワ。誰もが息を呑むほど美しい娘エヴァは、実家が営む下宿に部屋を借りたウカシュに惹かれる。しかし彼は既婚者である上に離婚訴訟中、しかもとんでもなく破天荒な男だった。ひとりの純朴な女性が盲目の愛に溺れ、やがて転落していく様を濃密に描いたコスチューム史劇。原作はステファン・ジェロムスキ。
名匠ロマン・ポランスキー監督の85歳を記念し、ポーランド時代の「水の中のナイフ」(62)とドキュメンタリー「ロマン・ポランスキー 初めての告白」(2012)などの上映をはじめ、ポーランド独立回復100周年を記念し、名作映画から見るポーランド史の企画で、
「灰とダイヤモンド」(1958/アンジェイ・ワイダ監督)、
「夜と昼」(75/イエジー・アントチャック監督)、
「戦場のピアニスト」(2002/ロマン・ポランスキー監督)、
「大理石の男」(76/アンジェイ・ワイダ監督)、
「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」(2014/ヤン・コマサ監督)、
「約束の土地」(74/アンジェイ・ワイダ監督)、
「ヴォウィン」(2016/ヴォイチェフ・スマジョフスキ監督)
の7作品を紹介する。
そのほか、本映画祭監修を務めるイエジー・スコリモフスキ監督の「ムーンライティング」(82)、「イレブン・ミニッツ」(2015)も上映される。
★ムーンライティングFucha監督:イエジー・スコリモフスキ
1982年/英語・ポーランド語/97分/カラー/デジタル・リマスター版
イギリスに不法滞在する4人のポーランド人。彼らは別荘の改修作業に励むが、ひとり英語を解するノヴァクだけは祖国に戒厳令が敷かれたことを知る。しかし作業の遅れを恐れた彼は、その事実を仲間にひた隠しにした。独立自主管理労組“連帯"を弾圧するため戒厳令が敷かれた事件を背景に、同時代の緊迫感が伝わる快作。第35回カンヌ国際映画祭で最優秀脚本賞受賞。
★イレブン・ミニッツ 11 Minutes監督:イエジー・スコリモフスキ
2015年/ポーランド語/81分/カラー/デジタル
午後5時から5時11分までの間にワルシャワ都心部で、互いを知らぬ人々の間に起こる11分間のドラマをモザイク状に構成した、リアルタイム・サスペンスの傑作。クライマックスまで緊張感溢れる映像。「11という数字は美しくて好きなんだ!」と語るスコリモフスキ監督の最新作を、今年は11月11日(日)11:00から上映する。
★水の中のナイフNóż w wodzie監督:ロマン・ポランスキー
1962年/ポーランド語/94分/モノクロ/デジタル・リマスター版
裕福な中年夫婦と貧しい青年が偶然に湖でバカンスを過ごすことになる。ボートの上で繰り広げられる人間模様から見える世代間の断絶や階層のギャップ。ポランスキーの名前を世界に広めた長編処女作。脚本はスコリモフスキとの初めての共同執筆、そこにクシシュトフ・コメダのモダン・ジャズがスパークする、今日でも全く色褪せない傑作。ヴェネチア国際映画祭批評家連盟賞受賞。
★ロマン・ポランスキー 初めての告白Roman Polański: moje życie監督:ローラン・ブーズロー
2012年/英語/94分/カラー/デジタル/提供:KADOKAWA
ポランスキー自身が、生い立ちから今に至るまでを自らの言葉で赤裸々に語ったドキュメンタリー。2009年から2010年にかけてスイスの自宅に軟禁中の彼に、長年のビジネス・パートナーである監督がロングインタビューを決行。親しい友人相手に自分の全てをさらけ出し、時には涙すら浮かべる彼の姿に心を奪われる。同時に、その偉大さが伝わる。
★メモリーズ・オブ・サマーWspomnienie lata監督:アダム・グジンスキ
2016年/ポーランド語/90分/カラー/デジタル/配給:マグネタイズ
1970年代の後半、小さな地方の町で暮らす12歳の少年ピョトレックは、母親と強い絆で結ばれていた。だが母親は、父親が去ってから毎晩のように外出し始め・・・。大人への階段を昇る過程の一瞬の季節を瑞々しいタッチで描き出し、青春の光と影をとらえた傑作。第32回ワルシャワ国際映画祭コンペティション部門入選。2019年日本公開予定。
★マリア・スクウォドフスカ=キュリーMaria Skłodowska-Curie監督:マリー・ノエレ
2016年/ポーランド語・フランス語/96分/カラー/デジタル(英語字幕付)
女性初のノーベル賞に輝いた“キュリー夫人”の波瀾万丈の人生を映画化。男性優位の風潮が根強い20世紀初頭のフランスを舞台に、最愛の夫を事故で失い2人の幼い娘を育てながら、再び栄冠をつかむ一人の科学者に迫る。キュリー役を演じたカロリナ・グルシュカは第20回ポーランド映画賞の主演女優賞にノミネートされた。
★ゴッホ~最期の手紙~Twój Vincent監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン
2017年/英語/96分/カラー/デジタル/提供:パルコ
オランダ人画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。この不世出の天才を死に追いやったものは何だったのか? 全編、125名のアーティストが再現した動く“ゴッホの絵”によって表現された斬新なアニメーション作品。2017年のアヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞を受賞した他、アカデミー賞やゴールデングローブ賞にもノミネートされた。
★クリスマスの夜にCicha noc監督:ピオトル・ドマレフスキ
2017年/ポーランド語/97分/カラー/デジタル
海外で働くアダムは、クリスマス・イヴに突然ポーランドへ帰ってくる。出迎える家族たちは、アダムが彼らの人生を変えてしまうほどの、ある計画を企んでいることなど知る由もなかった。主演は『幸せのありか』(13)『イーダ』(13)『イレブン・ミニッツ』(15)のダヴィド・オグロドニク。第20回ポーランド映画賞の作品賞、主演男優賞をはじめ多数受賞。
★ピウスツキ・ブロニスワフ~流刑囚、民族学者、英雄~Piłsudski Bronisław: zesłaniec, etnograf, bohater監督:ヴァルデマル・チェホフスキ
2016年/ポーランド語・日本語/53分/カラー/デジタル
弱者の側に立ち続けたポーランド人民族学者についてのドキュメンタリー。アレクサンドル3世の暗殺計画に巻き込まれサハリンへ流刑された後、アイヌをはじめとした少数民族の研究で偉大な功績を残し、日露戦争や第一次世界大戦を経て、最期はセーヌ川で水死したピウスツキ。彼に縁のあった人物や研究者の証言からその数奇な運命を紐解く。
★夜と昼Noce i dnie監督:イエジー・アントチャック
1975年/ポーランド語/170分/カラー/デジタル・リマスター版
全4巻からなるマリア・ドンブロフスカの長編小説の映画化。1863年から第一次世界大戦が勃発した1914年にかけての50年間を、歴史に翻弄されたある家族を通して壮大なスケールで描く。第49回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、ドラマシリーズ化もされた。監督は『ショパン 愛と哀しみの旋律』(02)のイエジー・アントチャック。
★灰とダイヤモンドPopiół i diament監督:アンジェイ・ワイダ
1958年/ポーランド語/103分/カラー/デジタル・リマスター版
ポーランド映画を代表する傑作として、映画史にその名を刻む金字塔的作品。第二次世界大戦末期のポーランド。誤ってターゲットとは別の人物を殺害してしまった若きテロリスト、マチェクが、翌朝、虫けらのごとく空しく死んでいく様を鮮烈に映し出す。『世代』『地下水道』と並ぶ、アンジェイ・ワイダの“抵抗三部作”の一本。
★戦場のピアニストPianista監督:ロマン・ポランスキー
2002年/英語・ドイツ語・ロシア語/149分/カラー/デジタル・リマスター版/提供:ブロードメディア・スタジオ
戦火を生き抜いたユダヤ系ポーランド人ピアニスト、ヴワディスワフ・シュピルマンの感動の実話。シュピルマンの実体験を記した『ある都市の死』が原作。自身もユダヤ人ゲットーで過酷な生活を送ったポランスキー監督の集大成として絶賛を浴び、カンヌ国際映画祭パルムドール、米アカデミー賞の主演男優賞、監督賞、脚色賞などを受賞した。
★大理石の男Człowiek z marmuru監督:アンジェイ・ワイダ
1976年/ポーランド語/161分/カラー/デジタル・リマスター版
スターリン時代に英雄として祭り上げられたある労働者の人生と、彼の真実を追う映画大学の女子学生。ポーランドの“過去”と“現在”を重層的に描き出す、ワイダ監督渾身の大作。ポーランド国内で大ヒットを記録、海外上映禁止処分を受けながらも第31回カンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を獲得するなど、世界中で高く評価された。
約束の土地Ziemia obiecana監督:アンジェイ・ワイダ
1974年/ポーランド語/169分/カラー/デジタル・リマスター版
19世紀末、ポーランドの工業都市ウッチ。民族・宗教の異なる3人の若者が大いなる野望を抱いて織物工場を建設するものの、事態は思わぬ方向へ・・・。旧世代に代わって街を支配しようとした男たちが辿る皮肉な運命がドラマチックに描かれる。ワイダの冷徹な洞察力が冴え渡る理想と挫折の物語。第48回アカデミー賞で外国語映画賞にノミネート。
★リベリオン ワルシャワ大攻防戦Miasto 44監督:ヤン・コマサ
2014年/ポーランド語/128分/カラー/デジタル/提供:ニューセレクト
第二次世界大戦の末期、ポーランドに侵攻したソ連軍は首都ワルシャワに迫っていた。ナチスドイツ占領からの解放を信じたポーランド地下抵抗組織(国内軍)は大規模な武装蜂起を決行。しかし突如進撃を止めたソ連の裏切りにより、彼らの戦いは絶望の地獄に突き落とされることになる。1944年8月のワルシャワ蜂起の全貌を描く大スペクタクル映画。
★ヴォウィンWołyń監督:ヴォイチェフ・スマジョフスキ
2016年/ポーランド語・ウクライナ語/150分/カラー/デジタル
ウクライナ人、ポーランド人、ロシア人、ユダヤ人らがモザイク状に共生していた地域ヴォウィン。現在はウクライナに位置するこの地で起こった民族相互の大虐殺は、第二次世界大戦最大の悲劇と言われた。エスカレートする民族主義に疑問を投げかける問題作。スマジョフスキ作品はポーランド国内で人気があり、日本でも過去作品が上映されている。
★ポコット 動物たちの復讐Pokot監督:アグニェシュカ・ホランド、カシャ・アダミック
2017年/ポーランド語・英語/128分/カラー/デジタル
第67回ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞した、アグニェシュカ・ホランドと娘のカシャ・アダミックの共同監督作。原作はポーランドの女流作家オルガ・トカルチュクの小説。山で連続殺人事件が起こる。大の動物好きで、今は教師として慎ましやかに暮らしている老女が事件の真相に迫るが、住民は誰も彼女を信じようとはしなかった…。
★顔Twarz監督:マウゴジャタ・シュモフスカ
2017年/ポーランド語/92分/カラー/デジタル
ドイツ国境に近い村の建設現場で働いていた男が事故に遭った。顔に大怪我を負った彼は、移植手術を受けて故郷に戻るが、誰も彼のことが分からず…。アイデンティティの喪失を激しい音楽とともに描いた意欲作。第68回ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作。監督は前作『君はひとりじゃない』が日本でも公開されたマウゴジャタ・シュモフスカ。
★ゆれる人魚Córki dancingu監督:アグニェシュカ・スモチンスカ
2015年/ポーランド語/92分/カラー/デジタル/提供:ハピネット
1980年代、共産主義時代のポーランドを舞台に、肉食人魚姉妹の少女から大人への成長を野生的に描いたホラーファンタジー映画。海から陸へ上がって来た人魚の姉妹がたどり着いたのはワルシャワのナイトクラブだった。一夜にしてスターとなる姉妹だが、次第にお互いの関係が壊れていく。
★お願い、静かにProszę o ciszę監督:水谷江里
2017年/ポーランド語/26分/カラー/デジタル
多摩美術大学卒業後ポーランドに渡り、ウッチ映画大学で現地のスタッフとともに映画を撮り続ける、京都出身の水谷江里監督作。とある寄宿制の聾唖学校で、音のない世界に生きる子供たちの日常を、1年間かけて丹念に追ったドキュメンタリー。子供たちの何気ない表情や仕草を通し、観る者をファンタジックな異世界へと誘い出す。
★こんな風景Taki pejzaż監督:ヤゴダ・シェルツ
2013年/ポーランド語/23分/カラー/デジタル
既成概念から飛び出し、実際の出来事を元に、死に対する恐怖から救ってくれる奇跡や贖罪、悔恨、祈り、赦しなどのテーマを詩的な映像で紡いだ渾身の一作。女性監督の中でもどこか力強さを感じるヤゴダ・シェルツの短編作品。ヤゴダは既に長編作品を2本発表し、ポーランドで最も注目される監督の一人。
★チプカCipka監督:レナータ・ゴンショロフスカ
2016年/ポーランド/9分/カラー/デジタル
若い女性が家で一人で過ごしている。彼女は一人で素敵なお風呂タイムを楽しもうとするが、思い通りには進まない。自慰についての新しいタイプの可愛らしいアニメーションの誕生。本作は2017年新千歳空港国際アニメーション映画祭でインターナショナルコンペティションにノミネートされた。
★サルトSalto監督:タデウシュ・コンヴィツキ
1965年/ポーランド語/106分/モノクロ/デジタル・リマスター版
昨年のポーランド映画祭で上映した『ズビシェク』でポーランドの名優ズビグニェフ・ツィブルスキが登場し、異様なダンスシーンを披露していたのが本作。戦争の暗い影から逃れられない民族の宿命を描いている。クラブでのダンスシーンは、ポーランド映画史に残る名シーンなので必見。
★イーダIda監督:パヴェウ・パヴリコフスキ
2013年/ポーランド語/82分/モノクロ/デジタル
2018年のカンヌ国際映画祭で最新作『Cold War』を発表し、見事、最優秀監督賞を受賞したパヴェウ・パヴリコフスキ。本作はポーランド映画初の米アカデミー賞外国語映画賞を受賞。1960年代初頭のポーランドを舞台に、孤児として育てられた少女が自身の出生の秘密を知るために叔母と旅に出るというロードムービー。
★ラブ・エクスプレス ヴァレリアン・ボロフチクについてLove Express. Przypadek Waleriana Borowczyka監督:クバ・ミクルダ
2018年/ポーランド語・英語・フランス語・イタリア語/79分/カラー/デジタル
比類のない感度を持つポーランド映画監督の一人ヴァレリアン・ボロフチク。1960年代には短篇映画が世界中の賞賛を集め、その後、エロティック映画を制作し続けたボロフチクを、テリー・ギリアム、ニール・ジョーダン、アンジェイ・ワイダ、パトリス・ルコントなど、彼に近い映画制作者、知人などのインタビューも含めて掘り下げて紹介する。
★罪物語Dzieje grzechu監督:ヴァレリアン・ボロフチク
1975年/ポーランド語/120分/カラー/デジタル・リマスター版
19世紀末のワルシャワ。誰もが息を呑むほど美しい娘エヴァは、実家が営む下宿に部屋を借りたウカシュに惹かれる。しかし彼は既婚者である上に離婚訴訟中、しかもとんでもなく破天荒な男だった。ひとりの純朴な女性が盲目の愛に溺れ、やがて転落していく様を濃密に描いたコスチューム史劇。原作はステファン・ジェロムスキ。