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Channel: 映画収集狂
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迎春花

すこし前、2019年6月7日(金)朝刊の訃報欄にこんな記事が掲載されていました。 《岸富美子さん(きし・ふみこ=映画編集者)5月23日午前0時33分に老衰のため東京都小平市の病院で死去した、98歳だった。葬儀と告別式は近親者で済ませた。喪主は長女千蔵真理さん。女性の映画編集者の草分け的存在だった。...

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ひとの犯す過ち

村上春樹が、フィッツジェラルドの翻訳にこだわっていることを知ったとき、「そうだったのか」と思い当たるものがありました。 あのシニカルで乾いた、独特の理屈っぽい村上春樹の文体は、自分にとって、そこがまたたまらない魅力を感じるところだったのですが、それが1920年代(~1930年代も)のフィッツジェラルドの古風な文体の影響だったと知ったときの意外は、なかなか受け入れられるものではありませんでした。...

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東京暮色

BS放送で小津作品「東京暮色」を放映していたので、本当に久しぶりに、じっくりとこの作品を鑑賞することができました。 しかし、このように簡単に「じっくりと鑑賞することができた」などと言葉にしてしまうと、いままで自分がこの作品に対して抱いていた「気持ち」とか「印象」からは、ずいぶんと隔たりのある言い方になってしまうことに気づかされます。...

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太宰治の「オネエ小説」概論

8月10日の夕刊の一面に、「水の都へ、清きお濠に」という見出しで、皇居の外堀と内堀の汚染が著しいので、玉川上水に接続して抜本的に浄化しようという案が報じられていました。 記事によると現在のお濠は下水道とかにもつながっていて、夏場はとくに汚染が激しく藻や悪臭が発生するそうなので、玉川上水とつないで循環させ、浄化してお濠をきれいにしようという案だそうです。...

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8月は、確かお約束の「岡本喜八・月間」だったはず

8月に戦争映画の放映が多いのは、「終戦記念日」があるからですが、これを契機に戦争で死んだ英霊のミタマを悼む厳粛な気持ちにならなければと思うより先に、惰性で繰り返される固定化・マンネリ化した戦争映画の放映というお約束の「企画」自体が、いつもながら随分と安直な発想だなとシラケ返り、げんなりさせられ、イマイチ厳粛な気持ちになれないでいました。...

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七人の侍・久右衛門の婆様の話

前回のブログに書いた「日本のいちばん長い日」で、岡本喜八の論考「体験的戦争映画・試論」から一文を引用するとき、原文と照合するために論稿の掲載されている岩波書店刊「講座・日本映画 第5巻 戦後映画の展開」を久しぶりに書棚から引っ張り出しました。 やはり、原文との照合というのは、引用者の当然の責務だと思っているので、転記に際しては誤記のないよう細心の注意を払って、慎重のうえにも慎重を期しています。...

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にっぽん昆虫記

今村昌平監督が遺した作品のなかでも特に傑出した作品といっていいこの「にっぽん昆虫記」の解説といえば、どれもが必ず「日本の戦中・戦後期を虫けらのように逞しく生き抜いた女の半生記」みたいな画一的な表現であっさりとまとめられてしまっていて、自分の中では、ずっと不満な気持ちを抱いていたことに、今回、久しぶりにこの作品を見て、あらためて気がつきました、というか、その「画一的な表現」に違和感があることを自分自身...

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都会で挫折した君に届く母からの手紙

読書についても映画についても、年齢がいってくれば、読むものも観るものも、それなりに進化して深められるものとずっと思い込んでいました。年月の経過が、自然にある程度のクオリティの高みを得られるものという感じです。...

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「村上春樹」関連図書 一覧

1 図書(和書) A wild sheep chase Haruki Murakami/[著] Kodansha International 1989/00 913.6 ○ 2 図書(和書) 愛について語るときに我々の語ること 村上春樹翻訳ライブラリー レイモンド・カーヴァー/著 中央公論新社 2006/07 933.7 ○ 3 図書(和書) 芥川龍之介短篇集 芥川 龍之介/著 新潮社...

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村上春樹の「草原の輝き」

年明けのある日、久しぶりにちょっと高めの寿司でも食べにいこうかと近所にある寿司職人のいる回転寿司「寿司清」にいったところ、新年早々店が閉まっていて、張り紙には、モト会社の小野瀬水産が破産したために破産管財人がどうのこうのというようなことが書かれていたので、びっくりしました。...

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天才作家の妻 40年目の真実

自分はずっと、曲がりなりにも雑誌と書籍の編集者をしてきたので、この映画が描く「ノーベル文学賞を受賞した作家ジョゼフ・キャッスルマンの作品は、本当は妻ジョーンが代筆していたものだった」というストーリーには、経験的にちょっと受け入れがたいものがあって、すごい違和感を覚えました。 この破綻の物語の最後で、自分は妻ジョーンに「あなたはこれで本当に満足か」と問い掛けてみたいくらいでした。...

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新藤兼人の死生観

あっという間に新型コロナウイルスが世界に拡散蔓延し、いまや世界は感染の恐怖にさらされています、東京もますます感染者数に拍車がかかり、その間、少しでも経済活動を継続したい政府対応は明らかに滞り、遅ればせながら先日やっと東京を含めた七都市に対して緊急事態宣言を発出したものの、その内容たるや「極力外出しないように」という程度のユルユルの規制で(人は遊興を求めて規制の無い隣接県へ流れているのが現実で、こんな...

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弱者の糧

さて問題です。 下記小説の原作者は誰でしょう? 回答は末尾にあります。 映画を好む人には、弱虫が多い。私にしても、心の弱っている時に、ふらと映画館に吸い込まれる。心の猛っている時には、映画なぞ見向きもしない。時間が惜しい。...

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アンネ・フランクのふともも

新型コロナは、ここにきておさまるどころか、いよいよ第三波のピークがやってきそうな勢いです。 有効なワクチンとか特効薬とかも、完成までにはまだまだ時間がかかりそうなので、こう長引くとなると、流行当初、盛んにいわれていた「新しい生活様式の導入」とか「新しい働き方」を、いよいよ本気で生活に取り込まなければならない現実味を帯びてきました。...

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「還って来た男」ふたたび

自分が以前書いた川島雄三監督作品「還って来た男」1944のコメントについて、先日、牧子嘉丸さんから ≪なんでこの映画を見て、後味の悪さを感じるのかちょっと不思議。 戦時下のなかでも懸命に生きる庶民の健気さとユーモアを感じないのか。≫ というコメントをいただきました。...

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「にごりえ」におけるチラ見とクチパクの実証的研究

先日、またまた牧子嘉丸さんから、うれしい「宿題」をいただきました。 コロナ禍の緊急事態宣言とかで仕方なく家に引きこもり、日々を持て余し途方に暮れている今日この頃、この思わぬ「宿題」になんだか心にハリができたような感じです、いえいえ、むしろこの「宿題」をいつの間にか心待ちしている部分だって大いにあります。...

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「にごりえ」反証

コロナの緊急事態宣言のために、家にこもりがちになると、しぜん配偶者と顔をつき合わせている時間も増えてくるわけですが、もともと趣味も性格も大きく違うので、とうぜん話題というものも限りがあって、一緒にいてもそのうちに話が尽きてしまうという状況が、しばしば訪れます。...

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2021 カーリング日本選手権

カーリングの日本選手権を予選から見ていて、無敗で勝ち上がったロコ・ソラーレが、当然優勝かと思っていた決勝戦、最後の最後のラウンドで北海道銀行に支配権を奪われ、ちょっとあっけない意外な結果で終わってしまいました。...

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今日もまた「東京物語」で日が暮れる

先週の月曜日、午後7時のニュースを見ながら、何気なく夕刊(たしかその日は朝刊は休刊でした)のテレビ番組表を眺めていたら、なんと午後7時30分からwowowで木下恵介監督の「カルメン故郷に帰る」を放映するとか書いてあるじゃないですか。...

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永遠の門 ゴッホの見た未来

すでに知っている人からすれば「なんだ、そんなこと、いまや常識だぞ」と言われてしまうかもしれませんが、この映画「永遠の門...

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